特に面白くないと思うので恐縮なのだが、僕の今の研究環境のまとめがあった方が恐らくご理解いただける(と思われる)記事を書こうと思っているのでその時の引用のために書いておきたい。
僕が臨床研究に関わり始めたのは医学生の頃で、そこでデータベースの作り方やゆる〜いデータマネジメントと解析を学び始めた。
研修最初の一年半程は相性の良いファカルティーに出会えず、あまり研究には力を入れていなかったのだが、2年目途中で来た心臓外科部長がかなり最高だったので彼のもとで研究チームを立ち上げた。
チームと言っても当初は僕と部長の二人で、そこからまずリサーチアシスタント兼ポスドクの様な人を雇ってデータベースなどある程度のインフラを作ってから他のファカルティーを取り込んで、今では学生も一定の数が安定して研究に参加してくれているのでトータルで15人くらいのグループになった。チーム構成のノウハウはここで学んだ感じ。
これが僕の所属する一つ目の研究チーム。
研究チーム1
ここで現在は自分でデザインしたスタディーや作りたいデータベースを、半試験的にこのチームのインフラを使ってやらせてもらっている。
例えば、2万人分くらいのCTのデータを電カルからオートで取り出してきたものの内の600人ほどのサブグループに詳細を足すために電カルからマニュアルでデータ採取しなければいけないプロジェクトがあったのでそれをメンバーに頼んで人海戦術で取り出してもらってなかなか稀有なデータベースが出来たのだが、これは成功だったと思う。
いまは結構な規模のシステマティックレビューをやっているがこれはどう出るかまだわからない。
僕にある程度セオリーの知識があって見通しが良いものを学生がリードするか、局所を手伝ってもらっている感じ。ただせっかく興味を持って時間を割いてくれているのでいい経験だと思ってもらえる様にスキルアップできる環境にしようとは努めている。
また、僕がリードした論文は何か共著者の条件を満たせる簡単な仕事をしてもらって共著にする、などその学生たちの論文がうまくいかなかった場合の保険的なものは一応かける様にしている。
このグループでは僕は中間管理職的なポジションにおり、上のファカルティーたちが好き勝手投げ込んでくるリサーチクエスチョンから、リーズナブルな労力でペーパーにまとまりそうなものを選んでタスクに分けたものを手の空いているメンバーに振り分ける、と言う様なもの。
他に使えるシチュエーションが想像できないが、このスキルはかなり磨かれたと思う。
ジャイアンが投げてくるヤバいプロジェクトを自然消滅させるのも僕の仕事。
研究チーム2
院のトレーニングに関してはこっちの方がメインなのだが、
研究チーム2はチームというよりはPIと一対一でプロジェクトを練って、解析したものを8−9割煮詰まった時点でエキスパート共著者に送りつけて完成させる、と言うアプローチをとることが多い。
このPIは執筆論文1000本以上の研究モンスターで、ネットワークが広いので大抵の技術的な、もしくはデータアクセス的な問題はコラボレーターを取り込むことで解決できている印象。
ここで仕事できるのは本当に感謝しかない。
そしてここで学んだコンセプトやスキルを研究チーム1で自分の監督下で実践できるかを試している…と言う感じ。
このPIとは一年半くらい仕事をしているが、ワークフローが上手くハマったと感じるまでに半年くらいかかった。
リサーチクエスチョンを練るためのディスカッションから始まってデータのプレゼンや、どの煮詰まり具合でペーパーを見てもらうか、等全てのステップにこだわりスタイルがあるのでそれが把握できるまでに時間がかかった感じ。
そこがハマったあとは働きやすくなってワークフローもスムーズになった。
あと最初の半年は恐らく値踏みされていたとも思う。
研究チーム1では量重視に対してチーム2では質重視という感じで、時間の割き具合は30:70でチーム2が多いのだが、出るペーパーの数は多分70:30くらいでチーム1だと思う。
他に不定期で関わらせてもらっているチームがあるが、この2チーム以外で筆頭で書くことはほとんどない。
チーム1でやっている仕事はチーム2には不可視なので今週は何やってたんだ、みたいなことになることもあるがセットアップが全く違う環境に同時にいれることはいい経験になっていると思う。
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