論文にさえアクセスできればメタ解析ができる。各段階で使えるリソースのまとめ。
メタ解析に関する授業で、データ格差に関する面白いディスカッションが得られたのでリソースのまとめと合わせて書こうと思う。
前回は、手に入れ易い医療データベースについて書いたが、根底にあった思いはデータ格差に対するフラストレーションだ。Medicare Inpatient 等の超良質なデータは一部のトップグループによって独占されているのが現状で、何のコネもなく大した研究費もない一臨床医(僕)にはアクセスすることさえ出来ない。このデータ格差のハンデを克服するには?オープン・データでも使い方次第ではかなりいいスタディーができると思うが、もう一つ下克上を可能にする最終兵器がメタアナリシス(メタ解析)だ。
メタ解析を専門としている教授が「私がメタ解析が好きな理由はdemocratic だからだ」と言っていた。彼のいう“democratic” は平等、というような意味合いだと思う。主要な論文データベースと論文にさえアクセス出来る環境があれば理論的には、JAMA や Lancet に載っているメタアナリシスが誰にでもできる!ということを熱弁されていた。
なるほど。
突き詰めれば解析技術やメソッドに関する専門知識は必要なのだが、データアクセスのベースラインは確かに割と簡単にクリアできる。ロマンチックな話のような気がする。
また、ほとんどのステップを複数人でリピート・重複させる必要があるので、あまり時間がないがリサーチに関わりたい、という臨床医や学生でも部分的に貢献することができる。
大まかな定義、ステップ、リソースを紹介する。 ステップの詳細は全てCochrane のハンドブック にかなりのディテールで書かれている。
まず定義。
システマティックレビュー
メタ解析の前に必要なステップで、既存の論文をOvid/Pubmed等の主要データベースから抽出してくるプロセス。解析まで行わずにこのステップでシステマティックレビューとして論文にする事も可だが定量的な結果を欠く。
メタ解析
システマティックレビューで得た論文のリストを解析して定量的な結果に するプロセス。
ステップが以下。
1. レビューのリサーチクエスチョンを定義する
2.PROSPERO という現行のメタ解析・システマティックレビューが登録されているデータベースで同じテーマの現行プロジェクトが無い事を確認
2a. PROSPEROへの登録は任意なので他のグループが手がけていても登録されていない場合がよくある
One thought on “メタアナリシスというデータ格差を取っ払う最終兵器”